【NAVAJO】ナバホのアンティーク作品で、非常に美しいブラック×オレンジのオーバルカット【Petrified Wood】ペトリファイドウッド(木の化石)がセットされたメンズサイズ、アンティーク/ビンテージリングです。
また、作者は不明ながら内側には『Curved Arrow/Arching Arrow』のホールマークが刻印されており、【C. G. Wallace INDIAN TRADER】C.G.ウォレス インディアントレーダーに作品を供給した作家による作品と推測されます。
1940年代~1950年代頃に作られた作品と思われ、経年と使用感を感じさせる状態ですが、堅牢なシルバーワークによって仕上げられた作品のため、現在でも使用に支障のあるダメージは無く、風格があり素晴らしい魅力を持った作品です。
キャスト(鋳物)かインゴットシルバー(銀塊)から成形されたシャンクにオーバルカットペトリファイドウッドのフェイスが構成されており、サイドにはベゼルと一体化したリーフ/タバコの葉をモチーフにしたと推測されるアップリケ/パッチワークが施されています。また、シャンクのサイドやコンチョパーツにはプリミティブなスタンプワークが刻まれており、ナバホジュエリーらしい表情を作り上げています。これらのシルバーワークもアンティーク作品特有の表情や質感を生み出しているようです。
【C. G. Wallace INDIAN TRADER/C. G. Wallace Trading Post】C.G.ウォレスインディアントレーダーは、【Charles Garrett Wallace】チャールズ・ガレット・ウォレスが、1928年にZUNI /ズ二のジュエリーを専門に扱うトレーダーとしてズニの町で創業し、非常に多くのズニジュエリー作家を支援しました。創業後すぐに、ナバホのシルバー彫金技術を必要として【Ike Wilson】アイク・ウィルソン(1901-1942)とその兄である【Austin Wilson】オースティン・ウィルソン(1901-1976)、他にも【Billy Hoxie】ビリー・ホクシー、【Charles Begay】チャールズ・ビゲイ(1912-1998)等の一説には二十数人と言われるナバホ出身のシルバースミスが在籍していたと云われており、こちらの作者もその中の一人だと思われます。
こちらと同じ矢印の様なカーブドアローのホールマークを持つボックスやピンブローチ等、トラディショナルなナバホスタイルを踏襲した作品が幾つか見つかっています。また、彼らの様にズニの町でシルバースミスをしていたナバホの職人は、技術的にはナバホの伝統的な彫金技術を重視していたようですが、そのデザインスタイルやナバホジュエリーにはあまり見られない繊細な仕事はズニの影響を受けていると考えられます。
【Petrified Wood】ペトリファイドウッドは、日本語では『珪化木』と言う<木>が化石化したものです。 これらの化石はインディアン居留地であるアリゾナ北部~ニューメキシコ西部の砂漠地帯から多く産出され、古くからジュエリーに用いられています。
おおよそ2億5000万年前の木々が地中に埋もれ、地下水のケイ素成分が浸透し樹木の組織が残ったまま化石化したものです。 木が持っていた組織の違いによって多くのバリエーションが存在し、ブラウンをベースにオレンジやグレーのものが多く見られますが、レインボーカラーと呼ばれるマルチカラーのものや、こちらの様に強いブラックとオレンジのコントラストが美しい石も見られます。 また、その表情が景色のように見えることから、【Agate】アゲート等を含め、総称として『ピクチャーストーン』『シニックストーン』と呼ばれることもあります。
インディアンジュエリーの歴史においては、コーラルやスパイニーオイスター、ラピスラズリなどと共にターコイズに次いで用いられることの多い石であり、特に第二次世界大戦中にはターコイズを採掘する鉱夫の人出が不足したため、ターコイズに代わって多く用いられました。
こちらの作品にセットされたペトリファイドウッドもインディアン居留地に近い場所で産出したものと思われ、アリゾナやニューメキシコ産らしい強く深いブラックと発色の美しいオレンジで構成され、ピクチャーストーンとも呼ばれる所以の通り、どこかの景色や抽象画を思わせる複雑な模様が形成されています。ペトリファイドウッドの中でも比較的ダークトーンで構成され、深淵な奥行きを感じさせる透明感のある上質なペトリファイドウッドです。
ターコイズとは異なる独特な存在感と他に類を見ない新鮮な印象を生み出すペトリファイドウッドを用いた作品は、古くから使われる素材でありながら、あまり紹介されておらず、日本において多く紹介されているインディアンジュエリーとは違ったフィーリングを与えてくれるアイテムであり、ビンテージインディアンジュエリーの新しい側面とも感じられる為、当店では注力してご紹介しています。
ダークトーンが基調となった色味の中に木を構成していた組織による不思議な表情が現れています。独特な雰囲気は強い存在感ではありませんがとてもシックで男性にも向いた渋く落ち着いた印象を持っており、有機物を起源とするナチュラルな石の表情やビンテージインディアンジュエリーの素朴な質感は、季節を問わず多くのスタイル馴染みやすく、モードなスタイルにもフィットするリングです。
また、オーバルカットの石はスクエアカットに比べ女性的な雰囲気を持っていますが、こちらのリングは石のシェイプやボリューム感等、男性の手にとても映えるバランスを持っています。
アンティークインディアンジュエリーらしい武骨で粗野な技術による細かく繊細なシルバーワークという相反する要素は、どこか現代的でアーティーな魅力を宿しており、神秘的なペトリファイドウッドや現時点では作者が不明のホールマークも含め、歴史的な資料価値も高いハイエンドなピースです。
◆着用サンプル画像(7枚)はこちら◆
コンディションは、全体に経年・着用による摩耗とシルバーのクスミが見られ、ベゼルの一部に欠損が見られますが、石のガタツキなどは無く着用には不安のない状態です。
ペトリファイドウッドも全体に細かなキズはありますが、クラックなどのダメージはありません。