【NAVAJO】ナバホのアンティークジュエリー、インゴットシルバー(銀塊)から成形された重厚でワイドなバンドをベースに【卍】Whirling Log/Nohokosやバタフライモチーフと思われる質の高いスタンプワークが施された非常に貴重なアンティーク/ビンテージバングルです。
プリミティブな技術によって形作られた作品ですが、スタンプツール(鏨・刻印)の素晴らしいクオリティや、オーセンティックながらオリジナリティのあるデザイン等、素晴らしいスペシャリティを誇るブレスレットとなっています。
1910年代末頃~1930年代前半頃に作られたと思われる作品で、インゴットシルバー(銀塊)から成形されたバンドは、日本において『平打ち』と呼ばれるスタイルに造形されており、上下のエッジは少し丸く鞣されています。
そのセンターには象徴的に迫力のある逆卍が刻印され、同様の逆卍スタンプはターミナル(両端)部分にも刻印されています。
サイドに刻印されたXを描き出すようなスタンプワークの構成は、おそらく【Butterfly】バタフライ/蝶々を表す紋様です。
バタフライは、力強く羽ばたき飛翔する姿から『生命力』や『永遠の命』を象徴しています。
また、幼虫から蛹へと姿を変えやがて羽化して飛び立つことから、ドラゴンフライ/蜻蛉とも似た『変化』や『生まれ変わり』を表すこともあります。
それらの刻印を刻む、それぞれのスタンプツール(鏨・刻印)の質も本作の特徴となっており、素朴ながら古典作品独特の力を有する作品です。
これらの『スタンプワーク』は、スタンプ/鏨ツールを打ち付けることによってシルバーに文様を刻みこんでいますが、そのツール(鏨)はシルバーよりも硬い鉄(鋼)で作られています。その為、その加工はジュエリー制作よりもはるかに高い難易度となります。
そして、ナバホジュエリーにおけるスタンプワークは、古くからその根幹を成す技術の一つであり、シルバースミスの「技術力」は、スタンプツール/鏨を制作する「技術力」次第であり、優れたシルバースミスは優れたスタンプメーカーと同義です。
さらに、スタンプツール(鏨・刻印)のクオリティは現代作品とビンテージ作品を見分ける上でも大きな特徴となります。1950年代以前の作品で見られる1920年代~1940年代に作られたスタンプツールの多くは、本作と同様に非常に細かな文様を刻むことが出来る高い質を持つことが特徴となっています。
本作では非常に細かく繊細な文様を持ったスタンプ(鏨)が正確に深く打ち込まれており、ナバホジュエリーの伝統的なシルバーワークと造形スタイルで構成された作品ですが、作者の非常に高い技術とクリエイティビティも感じられます。
特にセンターに刻まれた卍のスタンプツールは、独特の動きを持ったシェイプにクロスやドットを内包し、その奥には細かな編み目の様な文様が刻まれ、非常に凝った意匠が硬い刻印の先に彫刻される事で作られており、超絶技巧によって実現しているスタンプツールである事が判ります。
卍 【スワスティカ】 Whirling Log 【ワーリングログ】について・・・
4つの【L】 『LOVE・LIFE・LUCK・LIGHT』 からなる幸福のシンボル卍(Swastikaスワスティカ)はラッキーシンボルとして当時よく使われていたモチーフです。
しかしながら、1933年のナチスドイツ出現、1939年にWW2開戦によりアメリカにおいては敵国ドイツのハーケンクロイツと同一記号は不吉だとして使われなくなってしまいました。
当時の新聞記事にも残っていますが、インディアンたちにも卍が入った作品の廃棄が求められ、政府機関によって回収されたりしたようです。 その後、大戦中にも多くが廃棄されてしまった歴史があり、現存しているものは大変貴重となりました。
こちらはそのような受難を乗り越えて現存しているものです。
【Ingot Silver】インゴットシルバー(銀塊)からの成形は、アンティークインディアンジュエリーにおいて非常に重要なファクターですが、銀含有率/品位とは関係なく、ジュエリーの製法技術を表します。
現在制作されている作品の多くは、材料として市販されているシルバープレート(銀板/ゲージ)を加工することでジュエリーとして成形されていますが、インゴットから成形する製法では一度溶かしたシルバーを、鍛冶仕事に近い方法であるハンマーやローラーで叩き伸ばすことでジュエリーとして成形していきます。
最終的にはどちらもプレートやバーの形態になるため、大きな差は無いように思われますが、インゴットから成形されたシルバーの肌は、硬くなめらかで鈍い光を持っています。
それにより生み出されるプリミティブで武骨な作品の表情は、やはりアンティークインディアンジュエリーの大きな魅力です。
また、1930年代にはシルバープレートが登場しますが、当時シルバープレートを用いて制作されたジュエリーは政府によりインディアンクラフトとして認定されず、グランドキャニオンなどの国立公園内で販売できなくなった記録も残っています。
本作の重量感や特別な硬さ、滑らかなシルバーの質感はインゴットシルバーから成形された作品の特徴であり、アンティークナバホジュエリー独特の特別な特徴となっています。
そして、その様なシルバーの質感や、石がマウントされないシルバーのみで構成されている事もその希少性を高めており、派手さは持っていませんがアンティーク特有の上質感と量産品にはない迫力を帯びています。
また比較的ワイドな幅やアイコニックで迫力のあるデザインにより強い存在感を示しますが、ビンテージスタイルだけでなく多種多様ななコーディネイトに馴染みやすく、オーセンティックで洗練されたデザインにより長年にわたってご愛用いただける作品となっています。
ナバホの古典的な技術によって形作られたプリミティブな作品であり、武骨でアンティークらしい印象を受けますが、現代においても秀逸なデザイン/造形はタイムレスな魅力を湛えています。
さらに、スペシャリティとなっているスタンプツール(鏨・刻印)や質実剛健なシルバーワークにより、伝統工芸品としてだけでなくアートピースとしても高く評価できるアンティークナバホジュエリー。非常にコレクタブルで高い史料価値も有する作品です。
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コンディションは、長期の着用による摩耗のためスタンプは少し薄くなっており、アンティークのハンドメイド作品の為、制作上のムラ等が見られますが、目立ったダメージは無く着用に不安のない状態です。
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