【NAVAJO】ナバホの作品と思われるオールドハーフダラーコイン(50セント硬貨)を加工して制作されたアンティーク/ビンテージリング。非常にシンプルに仕上げられた作品で、コインをそのままハンマーワークによってリングに成形した作品です。
1940年代には、インディアンジュエリーに限らずこちらのような銀貨を加工して作るジュエリーが制作されており、ミリタリーアイテム等でも稀にみられるようです。
こちらは、ウーブン/網目状に施されたスタンプワークや造形技術、ナバホネーションに残るトレーディングポストが保管していたことなどから、インディアンメイドと判断できますが、制作された時期は1940年代~1960年代まで広く考えられ、特定することはできません。
とても素朴なピースですが、力強いスタンプワークはインディアンジュエリーらしい武骨な印象を受けます。
【Half Dollar】ハーフ・ダラー銀貨は、1794年から製造されているアメリカの硬貨であり、ウォーキング・リバティやケネディのデザインが有名な50セントコイン。1964年までに製造された硬貨は、所謂『コインシルバー』であり品位900(銀の含有率90.0%)、1965年~1970年までは銀の含有量40%、1971年以降から現在は、銅91.66%×ニッケル8.33%の合金が用いられ、銀は含まれていません。
【Coin Silver】コインシルバーとは、インディアンジュエリーにおいては銀含有率90.0%の地金を表します。900シルバーや品位900と言うのは、含有率の単位が『パーミル』1/1000を1とするためで、90.0%と同意になります。 また、アメリカの古い硬貨における銀含有率は900ですが、日本では800~900や古い100円硬貨では600、メキシカンコインは950であり、900シルバーが最も多く使われていますが世界中で共通した純度ではありません。
同じように【Sterling Silver】スターリングシルバー=【925シルバー】は、銀含有率92.5%の地金であり、後の7.5%は、銅やアルミニウム等が含まれています。純銀100%では硬さが足りないため、ジュエリーや食器などの加工品には向かず、925シルバーは熱処理によって時効硬化性をもち、細かな細工や加工に向いていたため食器や宝飾品等様々な物に利用されています。
また、コインシルバーとスターリングシルバーの差異は、銀含有率2.5%の違いしかなく、加工する場合、コインシルバーは硬く加工しにくい特性があるようですが、アンティークジュエリーにおいて表面が酸化した物は、見た目で判断するのが容易ではありません。使用により表面のクスミが磨かれて、シルバー本来の色が現れてくると、コインシルバーの方が少し暗く硬い色味になります。
【Ingot Silver】インゴット(銀塊)は、アンティークインディアンジュエリーにおいて非常に重要なファクターですが、上記のような銀含有率/品位とは関係なく、ジュエリーの製法技術を表します。
現在制作されている作品の多くは、シルバーゲージ/プレート(銀板)を加工することでジュエリーとして成形されていますが、インゴットから成形する製法では一度溶かしたシルバーを、鍛冶仕事に近い方法であるハンマーやローラーで叩き伸ばすことでジュエリーとして成形していきます。最終的にはどちらもプレートやバーの形態になるため、大きな差は無いように思われますが、インゴットから成形されたシルバーの肌は、硬くなめらかで鈍い光を持っています。それにより生み出されるプリミティブで武骨な作品の表情は、やはりアンティークインディアンジュエリーの大きな魅力です。 また、1930年代にはシルバープレートが登場しますが、当時シルバープレートを用いて制作されたジュエリーは政府によりインディアンクラフトとして認定されず、グランドキャニオンなどの国立公園内で販売できなくなった記録も残っています。
こちらの作品では、ハーフダラー銀貨そのものが、ハンマーによるシルバーワークのみでリングとして成形されており、鍛造に近い製法は、インゴット(銀塊)から成形したものと同じ特徴を持っています。
無駄のない造形は非常に多くのスタイルに馴染み、制作上のムラやシルバーのクスミも含めたハンドメイドの味わいは大変スタイリングしやすいと思われます。
また、あらゆるインディアンジュエリーとの相性も良く、シンプルなデザインは長くご愛用いただける作品です。
着用画像はこちら↓
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コンディションは、アンティーク作品のため多少の使用感や細かなキズ、シルバーのクスミは見られますが、ダメージ、修理跡などはありません。