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JPF039326

【Ganscraft】T-bird Shape Slug Silver Pin w/Turquoise c.1930

【Ganscraft】T-bird Shape Slug Silver Pin w/Turquoise c.1930
42,900 円(税込)
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着用サンプル画像
https://www.instagram.com/p/DECpAheTgZ5/
【NAVAJO】ナバホのアンティークジュエリー、当時サンタフェに在った【SOUTHWEST ARTS&CRAFTS】=【Ganscraft】で制作された作品。ランバス/菱形を基調としたサンダーバードのシェイプをベースに、美しいターコイズがマウントされた貴重なアンティーク/ビンテージピンブローチです。

裏面にある『S』の刻印により、【SOUTHWEST ARTS&CRAFTS】=【Ganscraft】サウスウエスト アーツアンドクラフト社による作品であることが分かり、刻印の『S』は、【Slug Silver】(小さな銀塊)=インゴットコインシルバーであることを表しています。

そして、SOUTHWEST ARTS&CRAFTS社で制作されたピースであることから、制作工程に機械化や分業化が導入され量産されたピースではなく、一人の職人が全ての工程を担当し伝統的な技術によってハンドメイドで仕上げられています。
その為、後に【Fred Harvey Style】フレッド・ハービースタイルと呼ばれる【Arrow Novelty】や【BELL】、【Maisel's】等で量産されたピースのデザインソースになった作品であると推測されます。


1930年代中頃に制作された作品で、インゴットコインシルバー(銀塊)から成形されたベースは、サンダーバードが巧みに抽象化されたランバス/菱形シェイプとなっており、細かなスタンプワークを刻むことによってサンダーバードの顔等、細部が描き出されています。

さらに、翼等の全体に巧なハンマーワークにる柔らかいドーム状の曲面が与えられています。
このようなディテールは、丸太やレッド(鉛)の塊に彫り込んだ窪みにシルバーを叩き添わせることにより、アール/曲面が生み出されています。

これによって立体的な印象を与え、フラットなシェイプよりも美しく上質感のある造形を作り上げています。

キャッチーな印象を持つサンダーバードモチーフですが、インゴット(銀塊)から成形された地金や武骨なスタンプワークなど、ナバホの伝統的な技術やハンドメイドの味わいが感じられるピースです。


中央と左右の3か所にセットされたターコイズは深遠で複雑な表情をもつ【Fox Turquoise】フォックスターコイズと思われます。
柔らかな色相のグリーンを基調としていますが、その高い硬度を感じさせる透明感によって、奥行きと複雑な景色が形成されることで特別な魅力を秘めた石となっています。

アクアカラーのグラデーションをベースにゴールドのマトリックスが入り、フォックスターコイズらしいグレイッシュな色相も感じられる、ジャムクオリティの無添加ナチュラルターコイズです。

本作がエレガントで上品な印象とインディアンジュエリーらしいアーシーな魅力を兼ね備えるリングとなっているのは、この石の持つクオリティと色彩がもたらしていると思われます。


【Fox Turquoise】フォックスターコイズは、1900年代初頭に発見された鉱山で、ネバダ州の鉱山の中でも最大の産出量を誇ります。
産出量に比例してそのカラーバリエーションも幅広い鉱山ですが、美しいグラデーションと強い透明感を持った個体がフォックスターコイズらしい色相・表情として高くグレーディングされています。



【Julius Gan's Southwestern Arts and Crafts】(以下ガンズクラフト)は、もともとは法律家だった【JULIUS GANS 】ユリウス・ガンズによって1915年、サンタフェプラザに小さなインディアンアート/アンティークショップとして創業し、その後、サンタフェでも最大級の店に成長していきます。
1927年ごろからは独自にナバホ・プエブロのインディアンシルバースミスを雇い入れ、店頭にてその作業を見せるスタイルで運営されていました。

当時、雇われていたアーティストは現在では非常に豪華で、その後有名作家として名を馳せる人物が多い事も特徴と言えます。
それは、【Ambrose Roanhorse】アンブローズ・ローアンホース、【David Taliman】デビッド・タリマン、【Mark Chee】マーク・チー、そして【Joe H. Quintana】ジョー・キンタナ等、非常に優秀で後世にも多大な影響を与えた作家たちが所属していました。
そのため、当時から同工房で生まれた作品は、大変評価が高くトラディッショナルなスタイルを守りながらも独自性のある作品も多く作られました。

しかし、その歴史は平坦でなかったようです。
ガンズクラフトでは、現在フレッド・ハービースタイルと呼ばれるBELLやMaisel's等のメーカーとは異なり、一人の作家がすべての工程を担い、材料の加工から仕上げまでを行っていましたが、いち早くシルバーシート/ゲージ(銀板)材料の導入を行いました。
そのため、政府(米国公正取引委員会)の介入を受けることになり、Maisel's等と同様に扱われることになってしまいます。そして、1930年代中ごろには国立公園内等での販売が出来なくなってしまいました。

そこで、復権のために導入されたのが本作の様に『S』の刻印を持つ【Slug Silver】です。 Slug Silverは、それまでのインゴットに比べると小さなコインシルバーの塊で、大きく扱いにくいインゴットよりも効率がよく、制作しやすかったようです。前述の【Joe H. Quintana】ジョー・キンタナもSWCA在籍時にはこの『S』の刻印を使用していたと証言しています。

現在、【Fred Harvey Style】は明確な定義がなく、Fred Harvey Companyもレストランやホテル等の観光施設経営でだけでなく、もともとはインディアンアートトレーダーとしての側面を持っていました。
そのため、こちらのガンズクラフトやSeligman's、GARDEN OF THE GODS TRADING POST等も旅行者に向けた「スーベニアビジネス」・「ツーリストジュエリー」と言う意味では量産化した工房のBELLやMaisel'sと同様です。

ただし、現代において多くのフレッド・ハービースタイルと呼ばれる作品の多くが、Arrow NoveltyやBELL、Maisel's、Silver Arrowの分業化や量産化を推し進めたメーカーのピースであることを踏まえると、こちらの様に全行程を一人の作家が担当し、ベンチメイドによりすべて手作業で仕上げられている作品はフレッド・ハービースタイルの作品群(マスプロ)とは一線を画しています。

また、もう一つのガンズクラフトの特徴としては半数以上の職人が在宅で仕事をし、定期的に作品を収めるスタイルをとっていたことです。
そのため、同工房が供給する独特のコマーシャルスタンプ(量産化された鏨)も使用しながら、上質なターコイズや安定した質のコインシルバー(Slug Silver)も供給されたことで、それぞれがハイクオリティーで個性的な作品を残すことになったようです。

さらに、現代においてもチマヨ織物を用いたジャケット等で知名度を持つ【Ganscraft】ガンズクラフト社と同じカンパニーであり、パースと呼ばれるチマヨ織のポーチを最初に制作・販売した工房としても有名です。
現在では日本の老舗アパレルである東洋エンタープライズ社が実名復刻をされておられます。



【Ingot Silver】インゴットシルバー(銀塊)からの成形は、アンティークインディアンジュエリーにおいて非常に重要なファクターですが、銀含有率/品位とは関係なく、ジュエリーの製法技術を表します。

現在制作されている作品の多くは、材料として市販されているシルバープレート(銀板/ゲージ)を加工することでジュエリーとして成形されていますが、インゴットから成形する製法では一度溶かしたシルバーを、鍛冶仕事に近い方法であるハンマーやローラーで叩き伸ばすことでジュエリーとして成形していきます。
最終的にはどちらもプレートやバーの形態になるため、大きな差は無いように思われますが、インゴットから成形されたシルバーの肌は、硬くなめらかで鈍い光を持っています。それにより生み出されるプリミティブで武骨な作品の表情は、やはりアンティークインディアンジュエリーの大きな魅力です。

また、1930年代にはシルバープレートが登場しますが、当時シルバープレートを用いて制作されたジュエリーは政府によりインディアンクラフトとして認定されず、グランドキャニオンなどの国立公園内で販売できなくなった記録も残っています。



【Coin Silver】コインシルバーとは、インディアンジュエリーにおいては銀含有率90.0%の地金を表します。
また、アメリカの古い硬貨における銀含有率は900ですが、日本では800~900や古い100円硬貨では600、メキシカンコインは950であり、900シルバーが最も多く使われていますが世界中で共通した純度ではありません。

同様に【Sterling Silver】スターリングシルバー=【925シルバー】は、銀含有率92.5%の地金であり、こちらは世界中で共通の基準となっています。
また『割金』と呼ばれる残りシルバー以外の7.5%には、銅やアルミニウム等が含まれています。(現在では、スターリングシルバーの割金は7.5%全てが銅と決められています)
主にイギリスの影響を受けた国において『STERLING』、それ以外の国において『925』の表記・刻印が使用されています。

925シルバーは熱処理によって時効硬化性をもち、細かな細工や加工に向いていたため食器や宝飾品等様々な物に利用されていますが、インディアンジュエリーにおいては、その初期に身近にあった銀製品、特にシルバー製のコインを溶かすことで、材料(地金)を得ていた背景があるため、現代でも限られた作家によりコインシルバーを用いる伝統が残されています。

インディアンジュエリーの歴史では、1900年代初頭にH.H.タンメン社が『800-Fine Silver』(シルバー含有率80.0%)を採用し、1910年代~1940年代初頭までに作られたツーリストジュエリーにおいては、Coin Silver 900が多く採用されました。

シルバーの色味や質感は、『割金』や製法にも左右され、コインシルバー900とスターリングシルバー925の差異は純度2.5%の違いしかない為、見た目で判断するのは困難ですが、やはりコインシルバーは少し硬く、着用によってシルバー本来の肌が現れた時に、スターリングシルバーよりも深く沈んだ色味が感じられると思います。

さらに古い1800年代後半頃の作品では、メキシカンコインが多く含まれていたためか、そのシルバーの純度は95.0%に近くなっているようですが、身近な銀製品を混ぜて溶かしていた歴史を考えると純度に対してそれほど強い拘りはなかったことが推測されます。



モチーフの【Thunderbird】サンダーバード はインディアンジュエリーの伝統的なモチーフの一つで、伝説の怪鳥であり、雷や雲、ひいては雨とつながりが深く幸福を運んでくるラッキーシンボルでもあります。
ジュエリーでは『限界の無い幸福』を表すシンボルであり、ネイティブアメリカンの守り神的存在です。

実在しない為にその容姿は作者の意匠に委ねられており、イーグルの様な威厳のある姿から、小鳥の様な可愛いデザインまで幅広く表現されているのも魅力の一つとなっています。



こちらの作品も、サンダーバードのキャッチーでアイコニックなデザインですが、チープな印象を持たずアンティーク独特の重厚な雰囲気も感じさせる作品です。

ナチュラルで奥行きのある佇まいや上質なターコイズの品位のある光は、性別やスタイルを問わず馴染みやすく、アウターのアクセントととしてラペルや襟等にもフィットしますし、ハット等のワンポイントにも使い勝手の良いピースです。
また、アイコニックなサンダーバードの印象は、男性向けのアクセサリーには重要な要素である『ギャップ』と『遊び心』を与えてくれるアイテムであり、さり気なくスタイルに奥行きをもたらすことが出来るビンテージリングです。


インディアンジュエリー史の中でも重要な役割を担っていた【SOUTHWEST ARTS&CRAFTS】で制作された作品であるという明確な背景を確認することができるインディアンジュエリーの歴史においても重要なピースの一つであり、その時代の作品群の歴史を紐解く上でも史料価値の高いコレクタブルな作品です。

◆着用サンプル画像はこちら◆



コンディションもシルバーの僅かなクスミやターコイズのベゼルに多少のキズ等が見られますが、目立ったダメージの無い良好な状態です。

本作はニードルパーツの針のみ欠損していた為、当店で補修済みとなっております。
【NAVAJO】ナバホのアンティークジュエリー、当時サンタフェに在った【SOUTHWEST ARTS&CRAFTS】=【Ganscraft】で制作された作品。ランバス/菱形を基調としたサンダーバードのシェイプをベースに、美しいターコイズがマウントされた貴重なアンティーク/ビンテージピンブローチです。

裏面にある『S』の刻印により、【SOUTHWEST ARTS&CRAFTS】=【Ganscraft】サウスウエスト アーツアンドクラフト社による作品であることが分かり、刻印の『S』は、【Slug Silver】(小さな銀塊)=インゴットコインシルバーであることを表しています。

そして、SOUTHWEST ARTS&CRAFTS社で制作されたピースであることから、制作工程に機械化や分業化が導入され量産されたピースではなく、一人の職人が全ての工程を担当し伝統的な技術によってハンドメイドで仕上げられています。
その為、後に【Fred Harvey Style】フレッド・ハービースタイルと呼ばれる【Arrow Novelty】や【BELL】、【Maisel's】等で量産されたピースのデザインソースになった作品であると推測されます。


1930年代中頃に制作された作品で、インゴットコインシルバー(銀塊)から成形されたベースは、サンダーバードが巧みに抽象化されたランバス/菱形シェイプとなっており、細かなスタンプワークを刻むことによってサンダーバードの顔等、細部が描き出されています。

さらに、翼等の全体に巧なハンマーワークにる柔らかいドーム状の曲面が与えられています。
このようなディテールは、丸太やレッド(鉛)の塊に彫り込んだ窪みにシルバーを叩き添わせることにより、アール/曲面が生み出されています。

これによって立体的な印象を与え、フラットなシェイプよりも美しく上質感のある造形を作り上げています。

キャッチーな印象を持つサンダーバードモチーフですが、インゴット(銀塊)から成形された地金や武骨なスタンプワークなど、ナバホの伝統的な技術やハンドメイドの味わいが感じられるピースです。


中央と左右の3か所にセットされたターコイズは深遠で複雑な表情をもつ【Fox Turquoise】フォックスターコイズと思われます。
柔らかな色相のグリーンを基調としていますが、その高い硬度を感じさせる透明感によって、奥行きと複雑な景色が形成されることで特別な魅力を秘めた石となっています。

アクアカラーのグラデーションをベースにゴールドのマトリックスが入り、フォックスターコイズらしいグレイッシュな色相も感じられる、ジャムクオリティの無添加ナチュラルターコイズです。

本作がエレガントで上品な印象とインディアンジュエリーらしいアーシーな魅力を兼ね備えるリングとなっているのは、この石の持つクオリティと色彩がもたらしていると思われます。


【Fox Turquoise】フォックスターコイズは、1900年代初頭に発見された鉱山で、ネバダ州の鉱山の中でも最大の産出量を誇ります。
産出量に比例してそのカラーバリエーションも幅広い鉱山ですが、美しいグラデーションと強い透明感を持った個体がフォックスターコイズらしい色相・表情として高くグレーディングされています。



【Julius Gan's Southwestern Arts and Crafts】(以下ガンズクラフト)は、もともとは法律家だった【JULIUS GANS 】ユリウス・ガンズによって1915年、サンタフェプラザに小さなインディアンアート/アンティークショップとして創業し、その後、サンタフェでも最大級の店に成長していきます。
1927年ごろからは独自にナバホ・プエブロのインディアンシルバースミスを雇い入れ、店頭にてその作業を見せるスタイルで運営されていました。

当時、雇われていたアーティストは現在では非常に豪華で、その後有名作家として名を馳せる人物が多い事も特徴と言えます。
それは、【Ambrose Roanhorse】アンブローズ・ローアンホース、【David Taliman】デビッド・タリマン、【Mark Chee】マーク・チー、そして【Joe H. Quintana】ジョー・キンタナ等、非常に優秀で後世にも多大な影響を与えた作家たちが所属していました。
そのため、当時から同工房で生まれた作品は、大変評価が高くトラディッショナルなスタイルを守りながらも独自性のある作品も多く作られました。

しかし、その歴史は平坦でなかったようです。
ガンズクラフトでは、現在フレッド・ハービースタイルと呼ばれるBELLやMaisel's等のメーカーとは異なり、一人の作家がすべての工程を担い、材料の加工から仕上げまでを行っていましたが、いち早くシルバーシート/ゲージ(銀板)材料の導入を行いました。
そのため、政府(米国公正取引委員会)の介入を受けることになり、Maisel's等と同様に扱われることになってしまいます。そして、1930年代中ごろには国立公園内等での販売が出来なくなってしまいました。

そこで、復権のために導入されたのが本作の様に『S』の刻印を持つ【Slug Silver】です。 Slug Silverは、それまでのインゴットに比べると小さなコインシルバーの塊で、大きく扱いにくいインゴットよりも効率がよく、制作しやすかったようです。前述の【Joe H. Quintana】ジョー・キンタナもSWCA在籍時にはこの『S』の刻印を使用していたと証言しています。

現在、【Fred Harvey Style】は明確な定義がなく、Fred Harvey Companyもレストランやホテル等の観光施設経営でだけでなく、もともとはインディアンアートトレーダーとしての側面を持っていました。
そのため、こちらのガンズクラフトやSeligman's、GARDEN OF THE GODS TRADING POST等も旅行者に向けた「スーベニアビジネス」・「ツーリストジュエリー」と言う意味では量産化した工房のBELLやMaisel'sと同様です。

ただし、現代において多くのフレッド・ハービースタイルと呼ばれる作品の多くが、Arrow NoveltyやBELL、Maisel's、Silver Arrowの分業化や量産化を推し進めたメーカーのピースであることを踏まえると、こちらの様に全行程を一人の作家が担当し、ベンチメイドによりすべて手作業で仕上げられている作品はフレッド・ハービースタイルの作品群(マスプロ)とは一線を画しています。

また、もう一つのガンズクラフトの特徴としては半数以上の職人が在宅で仕事をし、定期的に作品を収めるスタイルをとっていたことです。
そのため、同工房が供給する独特のコマーシャルスタンプ(量産化された鏨)も使用しながら、上質なターコイズや安定した質のコインシルバー(Slug Silver)も供給されたことで、それぞれがハイクオリティーで個性的な作品を残すことになったようです。

さらに、現代においてもチマヨ織物を用いたジャケット等で知名度を持つ【Ganscraft】ガンズクラフト社と同じカンパニーであり、パースと呼ばれるチマヨ織のポーチを最初に制作・販売した工房としても有名です。
現在では日本の老舗アパレルである東洋エンタープライズ社が実名復刻をされておられます。



【Ingot Silver】インゴットシルバー(銀塊)からの成形は、アンティークインディアンジュエリーにおいて非常に重要なファクターですが、銀含有率/品位とは関係なく、ジュエリーの製法技術を表します。

現在制作されている作品の多くは、材料として市販されているシルバープレート(銀板/ゲージ)を加工することでジュエリーとして成形されていますが、インゴットから成形する製法では一度溶かしたシルバーを、鍛冶仕事に近い方法であるハンマーやローラーで叩き伸ばすことでジュエリーとして成形していきます。
最終的にはどちらもプレートやバーの形態になるため、大きな差は無いように思われますが、インゴットから成形されたシルバーの肌は、硬くなめらかで鈍い光を持っています。それにより生み出されるプリミティブで武骨な作品の表情は、やはりアンティークインディアンジュエリーの大きな魅力です。

また、1930年代にはシルバープレートが登場しますが、当時シルバープレートを用いて制作されたジュエリーは政府によりインディアンクラフトとして認定されず、グランドキャニオンなどの国立公園内で販売できなくなった記録も残っています。



【Coin Silver】コインシルバーとは、インディアンジュエリーにおいては銀含有率90.0%の地金を表します。
また、アメリカの古い硬貨における銀含有率は900ですが、日本では800~900や古い100円硬貨では600、メキシカンコインは950であり、900シルバーが最も多く使われていますが世界中で共通した純度ではありません。

同様に【Sterling Silver】スターリングシルバー=【925シルバー】は、銀含有率92.5%の地金であり、こちらは世界中で共通の基準となっています。
また『割金』と呼ばれる残りシルバー以外の7.5%には、銅やアルミニウム等が含まれています。(現在では、スターリングシルバーの割金は7.5%全てが銅と決められています)
主にイギリスの影響を受けた国において『STERLING』、それ以外の国において『925』の表記・刻印が使用されています。

925シルバーは熱処理によって時効硬化性をもち、細かな細工や加工に向いていたため食器や宝飾品等様々な物に利用されていますが、インディアンジュエリーにおいては、その初期に身近にあった銀製品、特にシルバー製のコインを溶かすことで、材料(地金)を得ていた背景があるため、現代でも限られた作家によりコインシルバーを用いる伝統が残されています。

インディアンジュエリーの歴史では、1900年代初頭にH.H.タンメン社が『800-Fine Silver』(シルバー含有率80.0%)を採用し、1910年代~1940年代初頭までに作られたツーリストジュエリーにおいては、Coin Silver 900が多く採用されました。

シルバーの色味や質感は、『割金』や製法にも左右され、コインシルバー900とスターリングシルバー925の差異は純度2.5%の違いしかない為、見た目で判断するのは困難ですが、やはりコインシルバーは少し硬く、着用によってシルバー本来の肌が現れた時に、スターリングシルバーよりも深く沈んだ色味が感じられると思います。

さらに古い1800年代後半頃の作品では、メキシカンコインが多く含まれていたためか、そのシルバーの純度は95.0%に近くなっているようですが、身近な銀製品を混ぜて溶かしていた歴史を考えると純度に対してそれほど強い拘りはなかったことが推測されます。



モチーフの【Thunderbird】サンダーバード はインディアンジュエリーの伝統的なモチーフの一つで、伝説の怪鳥であり、雷や雲、ひいては雨とつながりが深く幸福を運んでくるラッキーシンボルでもあります。
ジュエリーでは『限界の無い幸福』を表すシンボルであり、ネイティブアメリカンの守り神的存在です。

実在しない為にその容姿は作者の意匠に委ねられており、イーグルの様な威厳のある姿から、小鳥の様な可愛いデザインまで幅広く表現されているのも魅力の一つとなっています。



こちらの作品も、サンダーバードのキャッチーでアイコニックなデザインですが、チープな印象を持たずアンティーク独特の重厚な雰囲気も感じさせる作品です。

ナチュラルで奥行きのある佇まいや上質なターコイズの品位のある光は、性別やスタイルを問わず馴染みやすく、アウターのアクセントととしてラペルや襟等にもフィットしますし、ハット等のワンポイントにも使い勝手の良いピースです。
また、アイコニックなサンダーバードの印象は、男性向けのアクセサリーには重要な要素である『ギャップ』と『遊び心』を与えてくれるアイテムであり、さり気なくスタイルに奥行きをもたらすことが出来るビンテージリングです。


インディアンジュエリー史の中でも重要な役割を担っていた【SOUTHWEST ARTS&CRAFTS】で制作された作品であるという明確な背景を確認することができるインディアンジュエリーの歴史においても重要なピースの一つであり、その時代の作品群の歴史を紐解く上でも史料価値の高いコレクタブルな作品です。

◆着用サンプル画像はこちら◆



コンディションもシルバーの僅かなクスミやターコイズのベゼルに多少のキズ等が見られますが、目立ったダメージの無い良好な状態です。

本作はニードルパーツの針のみ欠損していた為、当店で補修済みとなっております。
Size

縦 約1.8.5㎝   横 約5.4㎝
ターコイズ 縦 約5.1㎜  横 約10.6㎜

Material

Slug Silver(Ingot Coin Silver), Gem Quality Turquoise