【NAVAJO】ナバホのビンテージジュエリー、オーセンティックで重厚なシルバーワークをベースに、ワイルドな表情が大変魅力的なハイドームカットのパージャンターコイズがマウントされたアンティーク/ビンテージリングです。
本作に使用されているパージャンターコイズは、1930年代後半~1950年代頃にペルシャ(イラン)で産出し、1940年代後半~1950年代頃に北米は輸出された石と推測され、大変良質の石が輸入されていた当時のオールドパージャンターコイズです。
作品としては1950年代後半~1960年代頃に作られた作品で、ナバホのトラディショナルな造形は完成度が高く、ハイドームにカットされたターコイズの存在感を際立たせています。
シャンク部分は、厚いワイヤーを伝統的な造形であるスプリットした造形で、フェイスのサイドとなるスプリット部分には、シャンクと完全に一体化したアップリケが施されています。
こちらのような造形は、W.Ben Huntの著書『INDIAN SILVER SMITHING』 (1959年出版)にも紹介されており、現在では1950年代~1970年代前半頃までに作られた作品において散見されるディテールとなっています。
さらに、そのサイド部分には植物を想起させる文様のスタンプワークが刻まれており、複雑な表情を作りナバホジュエリーらしいデザインに仕上げられています。
フェイスはレクタングラー(長方形)となっている事で、クラシックな印象が与えられ、フェイスを縁取るように配されたツイステッドワイヤーにより、オーバルカットターコイズの周辺に深い影が作られています。
その影が特別な美しさを持つターコイズをより一層際立たせており、『シャドーボックス』と呼ばれる造形スタイルに近い効果となっているようです。
マウントされたターコイズは、非常にワイルドな表情を持つパージャンターコイズで、澄んだ深い水色と大きく強く入るチャート(黒くマットなマトリックス)のコントラストが素晴らしい石です。
リングとしての使用感と共にマットな表情となっており、再研磨/リポリッシュによって艶や透明感を取り戻す事も検討できますが、このままでもワイルドな表情と美しい色彩が素晴らしい無添加ナチュラルなターコイズとなっています。
【Persian Turquoise】パージャンターコイズ/ペルシャンターコイズは、現在のイラン産にあたり、カスピ海近くの鉱山で古くからたくさんのターコイズを算出しています。
その歴史は紀元前にさかのぼることができ、中世にはトルコを経由してヨーロッパに輸出されたことから、ターコイズ/トルコ石と呼ばれるようになりました。(トルコではターコイズが産出していません。)
北米とは違った価値基準を持ち、マトリックスの入らないフラットなブルーが上質とされ、すでに1920年代以前からアメリカにも輸出されていたようです。
1950年代にはすでに、ネバダ・アリゾナの多くのターコイズ鉱山の石が細かくグレーディングされ、パージャンターコイズも上質なものは流通量が少なくなっていたようです。
北米産ターコイズの多くが薄い脈状で形成されているのに対し、パージャンターコイズは塊で採掘できるのが特徴で、それにより高さのあるハイドームカットが可能になっています。
北米産では、【Number Eight Turquoise】ナンバーエイトや【Lone Mountain Turquoise】 ローンマウンテンターコイズ等が塊状で採掘されます。
その色相は、ターコイズらしい水色~ブルーの石を産出し、大変幅広いバリエーションを持っています。
存在感のあるターコイズと重厚なシルバーワークによって強い存在感を示し、特別な迫力を持ったリングです。
しかしながらその荒々しいターコイズの表情や、リングとして少し使い込まれた質感により、仰々しい印象はなく、程よいボリューム感とクラシックなデザイン/造形は品格を損なわず、多くのスタイルにおいて効果的なアクセントと成り得るジュエリーです。
ナバホの伝統的でオーセンティックな造形/デザインながら決して多く発見できるピースではなく、妖艶な色彩を持ちながらワイルドなターコイズと、クラシックでありながら現代的なシルバーワーク、という相反する魅力を兼ね備えた作品となっています。
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コンディションは、全体に経年によるシルバーのクスミや摩耗等の使用感が見られ、ハンドメイド特有の制作上のムラもありますが、特に目立ったダメージの無い状態を保っています。
ターコイズについては、少しマットな質感になっていますので再研磨/リポリッシュも検討できます。
マトリックス部分に見られる凹凸は、カットされた時からの天然石に由来する特徴です。
完璧なコンディションとは言えませんが、石の動きなどは無く、着用に当たって不安のない状態となっています。