【ZUNI】ズ二のビンテージジュエリー、ズニジュエリーの伝統的な技術であるターコイズインレイをメインに構成しながら、厚みに刻まれたスタンプワークが特徴的なアンティーク/ビンテージリングです。
構造的にもオリジナリティを持ち、【Hopi】ホピの偉大なアーティストである【Charles Loloma】チャールズ・ロロマ(1921-1992)を想起させるような作品となっています。
正確な制作時期の特定が困難な作品となっていますが、その構造やターコイズの質等からは、1950年代末~1970年代前半頃までに作られた作品と推測されます。
量産に向いたキャスト(型を使った鋳物)ではなく、地金製法/ボックス構造で形作られたリングであり、別々に制作された多くのパーツを組み合わせることで作り上げられていることが分かります。
使用感や経年により、コンディションの良い作品ではありませんが、リングを構成するシルバーは、内側と上下の厚みがそれぞれ別々に作られた後にロウ付けされ、堅牢な造形となっています。
さらに、厚みを構成する上下のエッジにはスタンプワークが刻まれる事で、エスニシティな魅力と現代的で洗練された印象が与えられているようです。
そして、中央に造り上げた凹部分にターコイズがインレイされており、繋ぎ目の無いシルバーワークにぐるっと一周全てターコイズインレイが構成されています。
セットされたターコイズは、一部にクラックや変色が見られマルチカラーになっていますが、それらを含めて味わい深い表情の石がセットされています。
1970年代後半以降のズニジュエリーではほとんど見られない無添加ナチュラルターコイズであり、鉱山などは不明ですがビンテージ作品特有の表情を持った石です。
おそらくは全て同じ水色であったと思われますが、無添加の天然石である為に経年によってそれぞれにマルチカラーとなっており、その変色が生み出すモザイクの様な色彩もビンテージ独特の複雑な表情とナチュラルな質感や奥行きを生み出しているようです。
【Inlay】インレイ/チャンネルインレイは、古くからズニ族が得意として発展させた技術であり、カットしたターコイズやシェルなどをシルバーにピッタリと嵌め込む螺鈿細工のような技術です。
ナバホのシルバー技術に次ぐ長い伝統のある技術であり、1920年代以降、現在に至るまで多く作られましたが、そのモチーフはサンダーバード、ナイフウイング、レインボーマン、サンフェイス等、とても多様なモチーフが見られます。
一部のビンテージ作品では、ナバホのシルバースミスがシルバーワークを担当し、そこにズニのシルバースミスがインレイワークを施した共作と思われるピースも発見されています。
また、現在ではインレイ技法で制作される多くのジュエリーがキャストによる量産品(量産されたシルバーに石をはめ込むだけ)となってしまいましたが、こちらはシルバー部分を含めてすべてがハンドメイドで成形されています。
本作では正確に作者や背景を特定することは出来ませんが、質実剛健なシルバーワークをベースに、緻密な仕事によってターコイズがセットされ、技術としては伝統的でオーセンティックな造形ながら、高い技術と造形センスを持った作者を想起させる作品です。
また、伝統的でクラシックなシルバーワークはナバホやホピの作品とも相性が良く、そのナローな幅としっかりとした厚みによる程よいボリューム感、構築的な表情は男性の手においても存在感を放ちます。
しかしながら、ターコイズもインレイによって リングを形作るシルバーと一体化していることにより、とてもシックで抑えた造形となっています。さらに、素朴でナチュラルな印象や経年と使用によるヘリテイジ感は、独特な造形美と相まってスタイルやシーンを選ばない高い汎用性を示します。
素朴でシンプルながら、前述の様にシルバーワークには表面的に表れない高いクオリティーを有し、完成度の高いデザイン等、ビンテージインディアンジュエリーのキラーピースとなっています。
◆着用サンプル画像はこちら◆
コンディションは、経年・着用による摩耗によって良い状態とは言えませんが、リペアを必要とするダメージは無く、現状のままでも着用には不安のない状態です。
またターコイズは、変色によってマルチカラーとなっており、クラックも確認できます。ただしガタツキなどは無く、こちらも着用には問題のない状態となっています。