【NAVAJO】ナバホのオールドジュエリー、重厚で秀逸な造作が施された14Kソリッドゴールドのシャンクをベースに、大変美しいハイグレードパージャンターコイズがマウントされた、シンプルながらクラシックで優美な印象を持つオールド/ビンテージリングです。

1970年代～1990年代に制作された作品と思われ、内側に14金無垢であることを表す『14K』の刻印と共に『Esteron's』というホールマーク(作者やショップのサイン)が刻まれていますが、作者などの詳細が不明となっています。当店では初見のホールマークであり、…'sという表記のスタイルからは、シルバースミス個人ではなく、制作元の工房やショップ等を表している可能性もありますが、現時点では特定出来ておりません。

ソリッド14カラットゴールド/無垢の14金で形作られたシャンク(地金)は、サイドがフラットなシェイプで内側に向けてトライアングルワイヤー(断面が三角形)に成形された高度な彫金となっており、ターコイズの質と共に本作のスペシャリティとなっています。ハンマーワークとファイルワークと呼ばれる鑢で削る技法によって造形され、フェイスと対極にあたるエッジ部分には、力強く深いスタンプが刻まれており、ピラミッドスタッズの様な造形とバーストデザインが施されています。また、フェイスに向けて少しずつフラットで幅が広く造形されており、その高度な立体造形からは、作者の卓越した技巧と突出した造形センスも窺い知れます。
フェイスは大変美しく質の高いパージャンターコイズで構成され、その石を留めるベゼル(覆輪)もしっかりと厚みのある14金で形作られています。さらにシャンクとの繋ぎ目には、サイズがグラデーションとなったゴールドドロップが配され、このナバホジュエリーらしいディテールによって、シャンクとの自然な繋がりや、リングとしての立体感を生み出しているようです。
また、シャンクを含めベゼル等のすべてが14金イエローゴールドで造形されており、シンプルなデザイン/造形は宝石として評価できるターコイズの美しさを最大限に活かした作品です。

マウントされたターコイズは、素晴らしいクオリティーを持った【Persian Turquoise】パージャンターコイズです。強い透明感や発色の良いブルーの色相から、アメリカ国内で【Bisbee Turquoise】ビズビーターコイズとして流通する事もありますが、おそらく1960年代頃に輸入されたパージャンターコイズです。
深く強い色相の水色に、パージャンらしいインクの様な強いブラックのマトリックスが入ります。贅沢な高さのあるカットや高い硬度を示す透明感を持ち、大胆にブラックウェブの入る表情は、ハイグレードにグレーディングできる石だと思われます。
また、こちらのパージャンやビズビー、ローンマウンテンターコイズは、イエローゴールドと素晴らしい相性を見せる鉱山であり、ゴールドに負けない発色と煌めきを示します。
※商品画像では『白い背景』の画像が実物の石に最も近い色相となっています。


【Persian Turquoise】パージャンターコイズ/ペルシャンターコイズは、現在のイラン産にあたり、カスピ海近くの鉱山で古くからたくさんのターコイズを算出しています。その歴史は紀元前にさかのぼることができ、中世にはトルコを経由してヨーロッパに輸出されたことから、ターコイズ/トルコ石と呼ばれるようになりました。(トルコではターコイズは産出していません)
北米とは違った価値基準を持ち、マトリックスの入らないフラットなブルーが上質とされ、すでに1920年代以前からアメリカにも輸出されていたようです。また、1950年代にはネバダ、アリゾナの多くのターコイズ鉱山の石が細かくグレーディングされ、パージャンターコイズも上質なものは流通量が少なくなっていたようです。
北米産ターコイズの多くが薄い脈状で形成されているのに対し、パージャンターコイズは塊で採掘できるのが特徴で、それにより高さのあるハイドームカットが可能になっています。北米産では、【Number Eight Turquoise】ナンバーエイトや【Lone Mountain Turquoise】ローンマウンテンターコイズ等が塊状で採掘されます。 色はターコイズらしい水色～ブルーの石を産出し、大変幅広いバリエーションを持っています。
幅広いバリエーションを持つ為にグレーディングの困難なターコイズでもあり、前述の様に世界基準と北米の基準は全く異なっていますが、比較的ペールトーンの石が多く、透明感と深く濃い色味を持ちワイルドなマトリックスの入るこちらの様な石が北米における基準では最も高く評価されてます。


また、本作のようなゴールドを用いたインディアンジュエリーは、古くはホピの巨匠【Lewis Lomay】ルイス・ロメイ(1913-1996)の残した作品や【Victor Coochwytewa】ヴィクター・クチュワティワ(1922-2011)、【Charles Loloma】チャールズ・ロロマ(1921-1991)等が多くのゴールドピースを制作しています。

本作ではホールマークが刻まれていながら、作者等の正確な背景や詳細は不明となっています。しかしながら、高度な技術を要する造形を実現しているゴールドワークや石のクオリティ、そして、その完成度からはキャリアと技術力を備えた作者による作品であることが判ります。

ナバホの伝統的な技術によって構成され、シンプルで洗練されたデザインのリングですが、作者のオリジナリティも有する独特な造形が特徴的であり、地金にゴールドが用いられることでハイジュエリーとしての上質感も纏っています。
また、14Kイエローゴールドと深いブルーを湛えるターコイズのコントラストが非常に美しく、ハンドメイドされた武骨でインディアンジュエリーらしい雰囲気と素材の持つエレガントな表情の二面性を秘めた作品となっています。

クラシックで洗練されたデザインや13号程度のサイズは、性別を問わずお使いいただけるリングとなっており、普遍的な造形美は永くご愛用頂けると思われます。

ゴールドを用いた作品は制作数も少なく、ゴールド地金価格の上昇が激しい為になかなかご紹介できないジュエリーとなっています。さらに、ハイグレードターコイズも非常に貴重であり、イエローゴールドの持つ華やかさと、質の高いターコイズが作り上げる静かで自然の偉大さを感じさせる表情は、着用者に高揚感さえ与える作品であり、大変な希少価値を有するオールドナバホジュエリーとなっています。

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コンディションも大変良好です。僅かなキズやハンドメイド特有の制作上のムラが見られますが、特にダメージの無いとても良好な状態です。
また、ターコイズもマトリックス部分に凹凸が見られますが、それらはカットされた時からの天然石に由来する特徴であり、現在も艶と美しい青さを保っています。