【NAVAJO】ナバホのビンテージジュエリー、サンドキャスト等で造形されたプリミティブで力強い造形をベースに、ハイドームにカボションカットされた味わい深いターコイズがマウントされた作品。ミニマムな造形美と迫力あるボリューム感を持ったアンティーク/ビンテージリングです。
本作のようなサンドキャスト(砂型鋳物)及びトゥーファキャストによるシルバーの成形は、ナバホジュエリーでも古典期と呼ばれる創成期からみられる技術の一つであり、長い歴史を持っています。そして、その当時から完成された技術/技法は現在に至るまで大きな変化なく受け継がれており、キャスト製法以外で作られた作品に比べて制作年代の判断が困難となっています。本作では、その造形スタイルやターコイズ、シルバーワークの細部から、1930年代～1950年代に制作された作品であると推測されます。
ベースとなるフェイスの土台とシャンク部分はサンドキャストによって成形されており、石を留めるベゼル(覆輪)や両サイドに配された立体的なアップリケは、地金から成形されているようです。特に両サイドのアップリケは、ファイルワークと呼ばれる鑢/ヤスリで削り出す技術により、彫が深く武骨で石に負けない存在感を放つディテールとなっています。
立体造形品として大変秀逸なデザインに仕上げられており、現代においても新鮮な印象を失っておらず、力強く荒々しいシルバーワークとオリジナリティは、エスニシティーな魅力も有しています。
マウントされているターコイズは、味わい深い表情を持ち、現在も美しい色彩を保つパージャンターコイズです。パージャンらしいハイドームな高さのあるカットとなっており、強い発色や濃い色相ではありませんが、豊かで柔らかな印象の無添加ナチュラルターコイズです。
【Persian Turquoise】パージャンターコイズ/ペルシャンターコイズは、現在のイラン産にあたり、カスピ海近くの鉱山で古くからたくさんのターコイズを算出しています。その歴史は紀元前にさかのぼることができ、中世にはトルコを経由してヨーロッパに輸出されたことから、ターコイズ/トルコ石と呼ばれるようになりました。(トルコではターコイズは産出していません。)
北米とは違った価値基準を持ち、マトリックスの入らないフラットなブルーが上質とされ、すでに1920年代以前からアメリカにも輸出されていたようです。また、1950年代にはネバダ、アリゾナの多くのターコイズ鉱山の石が細かくグレーディングされ、パージャンターコイズも上質なものは流通量が少なくなっていたようです。
北米産ターコイズの多くが薄い脈状で形成されているのに対し、パージャンターコイズは塊で採掘できるのが特徴で、それにより高さのあるハイドームカットが可能になっています。北米産では、【Number Eight Turquoise】ナンバーエイトや【Lone Mountain Turquoise】 ローンマウンテンターコイズ等が塊状で採掘されます。 色はターコイズらしい水色～ブルーの石を産出し、大変幅広いバリエーションを持っています。
本作もナバホジュエリーにおけるクラシックなデザイン/造形のリングとなっていますが、自然が作り上げたナチュラル無添加ターコイズの表情が付加されることで唯一無二の魅力を放ち、武骨な表情と共にアンティーク工芸品として品位さえ感じさせる作品となっています。
また、ハンドメイド独特の温もりを感じさせるリングであり、迫力のあるボリューム感・存在感を放つ作品でありながら、指に馴染みやすく多くのスタイルにフィットする高い汎用性を備えています。
原始的な技術によって作り上げられたナバホジュエリーの強さと、アーシーな魅力を宿すターコイズは特別な存在感を生み出しており、大変貴重でコレクタブルなキラーピースとなっています。
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コンディションは、経年による細かなキズや摩耗、ハンドメイド作品特有の制作上のムラ等は見られますが、特に目立ったダメージはありません。ターコイズも良好な状態ですが、動きがあったため当店でリペア済みとなっております。
