【NAVAJO】ナバホのアンティークジュエリー、サンドキャストにより成形された重厚なトライアングルワイヤー(竜骨型)を2連に構成した作品。ミニマルで非常に洗練されたなデザインが魅力的なアンティーク/ビンテージバングルです。
本作のようなサンドキャスト(砂型鋳物)及びトゥーファキャストによるシルバーの成形は、ナバホジュエリーでも古典期と呼ばれる創成期からみられる技術の一つであり、長い歴史を持っています。そして、その当時から完成された技術/技法は現在に至るまで大きな変化なく受け継がれており、キャスト製法以外で作られた作品に比べて制作年代の判断が困難です。
本作では、シルバーワークのディテールや造形スタイル、内側の綺麗な仕上げ工程等により、1930年代後半~1950年代頃に作られたことが推測できます。
サンドキャスト(砂型鋳物)によって成形されたトライアングル(竜骨型)ワイヤーのバンド(地金)によって構成されており、立体的なバイアスラインが美しい独創的なトライアングルワイヤーとなっています。そして、それら2本のトライアングルワイヤーが、ターミナル(両端)に備えられた小さなタブパーツによって一体化されており、フロント部分にかけて少しづつ広くなるように僅かな隙間が作られています。この上下の間に隙間を持たせているのは、とてもさり気なく目立たないディテールとなっていますが、装着時には非常に効果的なデザインとなっているようです。
サンドキャストはナバホの伝統的な技術であり、プリミティブな造形技術の一つですが、本作の方な細かなライン模様を造形するには非常に高い技術を必要とします。その手の込んだ造形と繊細なディテールにより、クリーンでモダンな印象が与えられ、緻密でありながら手仕事の温もりとナバホジュエリーらしい力強さも備えたブレスレットとなっています。
また、本作の様なトライアングルワイヤーのディテールは、ナバホの巨匠【Mark Chee】マーク・チー(1914-1981)の作品や、同じくナバホの偉大な作家【Fred Peshlakai】フレッド・ぺシュラカイ(1896-1974)の作品でも類似したデザインが見られますが、本作にはホールマーク(サイン)等が入らない為、残念ながら作者は不明となっています。
古典期からの伝統を守るナバホジュエリーの根源的な作品でありながら、インディアンジュエリーではないようなクリーンで現代的な表情を持ったバングルです。シルバーのみで構成されたソリッドな質感は強い存在感を与えませんが、重く重厚な造りは武骨な印象を作り、繊細で緻密なシルバーワークは、洗練されたミニマムな完成度を与えています。あらゆるスタイリングにフィットする汎用性を有し、長くご愛用いただける普遍的な造形美を持つバングルです。
明確な背景を確認することは出来ませんが、モダンでずば抜けた造形センスを感じさせ、歴史的な資料価値も高く非常にコレクタブルで貴重な作品の一つとなっています。
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コンディションも良好で、シルバーには僅かなクスミ等が見られますが、使用感を感じさせない大変良い状態を保っています。