【NAVAJO】ナバホのビンテージジュエリー、トライアングルワイヤー(竜骨型)をベースにしてフロント部分をフラットに成形し、『ローワーク』と呼ばれる石を連続して羅列した造形のアンティーク/ビンテージバングルです。
本作の様にトライアングルワイヤーをベースに石をマウントしたブレスレットは、1920年代以前の作品でも見られ現在も制作されているトラディショナルな造形スタイルですが、1950年代~1990年代頃までの作品には、ほとんど発見できない造形となっています。ただし、本作についてはスタンプ(鏨)ツールのクオリティやターコイズの質、その製法等からは1950年代~1970年代初頭頃までに作られた希少な作品だと思われます。
おそらくインゴットシルバー(銀塊)から成形された太く重厚なトライアングルワイヤーをバンドに構成し、フェイスとなる部分をハンマーワークによってフラットに仕上げています。そこに3つのオーバルカットターコイズが羅列され、それらの間には『レインドロップ』とも呼ばれる小さなシルバーボールが配されています。また、バンドのサイド~ターミナル(両端)には質の高いスタンプワークが刻まれており、特にエッジに刻まれたスタンプ(鏨)は、ライン模様を含んだスタンプをラインの方向に合わせ連続して刻むことで、シルバーの内側にライン模様を内包したような奥行きと立体感が生み出されています。現代でも【McKee Platero】マッキー・プラテロ氏等がこちらのようなスタンプの技術を受け継いでいますが、スタンプ(鏨)ツールをオリジナルで制作可能な腕の良いシルバースミスにのみ共通したクオリティと云えます。
また、トライアングルのエッジ(頂点)に規則的なスタンプを刻んだデザインや、ターコイズを固定するベゼル(覆輪)の厚みに微妙な変化をつけて石に美しくフィットさせている繊細なディテール等からは、ナバホの巨匠【Mark Chee】マーク・チー(1914-1981)の作品等が想起されますが、本作にはホールマーク(サイン)等が入らない為、残念ながら作者は不明となっています。
セットされた石は少しミルキーで柔らかな水色を基調に、部分的にブラウン等のマトリックスが入り、現在も変色がなくクオリティーの高いターコイズとなっています。鉱山を特定することは出来ませんが北米産と思われ、素朴ながら品位のある無添加ナチュラルターコイズです。
古い製法を守り、古典期から続く伝統を継承する作品でありながら、ベゼル(覆輪)の繊細なシルバーワークやターコイズの表情により、クラシックで品位を感じさせる上質感も与えられています。
また、程よい幅となじみの良い質感は重ね付けにも向いたバングルですが、こちらの様な太さのトライアングルワイヤーは単独でもしっかりとした存在感を放ちます。さらに、エッジーで厳かな印象もあり、多くのスタイルに馴染んでくれるバングル。重厚で繊細なシルバーワークと、無駄のない造形美は長年にわたってご愛用いただけるハイエンドな作品です。
ビンテージジュエリーにおいて、本作の様なトライアングルワイヤーのバンドをベースにターコイズがマウントされた作品は貴重であり、トレジャーハントプライスなブレスレットとなっています。
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コンディションも大変良好です。シルバーのクスミや摩耗が見られますが、ダメージの無い良い状態を保っています。ターコイズも中央の石に僅かな動きがありますが、着用に不安のないコンディションとなっています。