【NAVAJO】ナバホのビンテージジュエリー、心地よい重量感を持ったエッジ―なバンド/地金をベースに、美しいハイグレードブルージェムターコイズがマウントされた作品。シンプルながら完成された造形美を持ち、スタンプワーク等に作者の優れたセンスを感じさせるアンティーク/ビンテージバングルです。

1950年代頃に作られたと思われる作品で、サンドキャスト(砂型鋳物)によってある程度成形されたバンドを、鏨によるハンマーワークとファイルワークという削るだけの技法により、センターから彫りの深いバースト(放射状)デザインが構成された作品です。このプリミティブな技術を駆使して形作られた立体的なバンドのシェイプは、一見単純なデザインのように見えますが、緻密に計算された放射状の凹凸を作り上げることで成り立っており、直線的なラインと柔らかな曲面によって構成されています。さらに、ターミナル(両端)に向けて細くなるように造形され、部分的にエッジが構成されることで彫刻作品の様な立体感と存在感のある流麗な造形がもたらされており、 作者の素晴らしい立体造形センスを感じ取ることが出来ます。

このようなキャスト(鋳物)によってある程度成形されたバンドを作り、ファイルワークやハンマーワークによってデザインを構成した作品は、アリゾナ州のニューメキシコ州境に近い位置で運営されていた【Pine Springs Trading Post】パインスピリングストレーディングポストにおいて、1930年代後半～1950年代にかけて多く制作されていた記録が残っています。またそれらは、ナバホの【Ambrose Roanhorse】アンブローズ・ローアンホース(1904-1982)が中心になって運営されていた『U.S.NAVAJO』【Indian Arts & Crafts Board】(IACB)や『Navajo Guild』【The Navajo Arts & Crafts Guild】(NACG)等と関係するプロジェクトの影響を受けた作品群であったようです。

また、中央にはシンプルなシルバーワークに素晴らしい相性を見せる発色の良いブルージェムターコイズがマウントされ、サイドにはさりげなくも効果的なスタンプワークが刻まれることで、クリーンな印象のデザイン/造形にナバホジュエリーらしい表情を与えています。
デザイン/造形は現代的な印象も受ける作品ですが、こちらの様な造形スタイルや製法は、古く見られる伝統的なものとなっており、古典期のスタイルを踏襲しながらもモダンな印象と高い完成度を持ったバングルとなっています。

マウントされたターコイズは、美しい色彩と煌めきを持った【High Grade Blue Gem Turquoise】ハイグレードブルージェムターコイズです。ナバホの伝統的造形を、どこかモダンでエレガントな印象に昇華しているのはこの石による効果と思われます。
小さな石ながら、素晴らしい透明感と澄んだ深みを持ち、ブルージェムはもともと硬度の高いターコイズですが、こちらはそんなブルージェムの中でもハイグレードにグレーディングされる色と硬度を持つ石です。深遠な青のグラデーションは古い作品でありながら、現在も宝石としての煌きを失っていません。


プリミティブな技術で作り上げられたビンテージジュエリーであり、細部に至るまでファイルワーク(鑢で削る技術)によって丁寧に削って造形されており、古い作品特有の武骨で重厚な質感が与えられています。またそのような手間を要するシルバーワークと上質なターコイズが、伝統工芸品として作られたシルバージュエリーをウェアラブルアートとしても評価できる作品へと昇華しているようです。

また、とても程よいボリューム感と心地よい重量感の作品であり、ビンテージジュエリーの渋い表情によってナチュラルで多くのスタイルに馴染みやすいバングルとなっています。そして、ナバホジュエリーの武骨な印象と共に、それに相反するエレガントで落ち着いた印象も併せ持ち、少しフォーマルなシーンでもフィットさせる事が出来るジュエリーとしての品格も感じさせます。

とてもセンスの良い立体造形と実現しているシルバーワークに、貴重なハイグレードターコイズがセットされた大変コレクタブルなアンティークジュエリーの一つです。

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コンディションも良好です。一部にキャスト成形特有の凹凸やクラックのような部分が見られますが、目立ったダメージやリペア跡等は見られません。
ターコイズも長い時間を経ていますが、現在もハイグロスと透明感を保っています。