【ZUNI】ズ二のビンテージジュエリー、マルチストーンインレイワークによって構成されたブレストプレート/ビブネックレスタイプの作品。ズニらしい美しい色彩と独特の幾何学模様が印象的なビンテージネックレスです。

1970年代頃に作られたピースと思われ、裏面には『OP』の文字が刻まれていますが、その作者は不明となっています。Uシェイプの重厚なプレートとハンドメイドで作られたチェーンで形作られたネックレスとなっており、プレート部分には、マザーオブパール(シェル)やターコイズ、オニキスが少し厚みを持たせ立体的にインレイされています。そのモチーフは不明ながら、三角形や台形で生み出されている幾何学模様は不思議な魅力を持ち、直線的でありながらどこか有機的でナチュラルな表情が与えられています。
さらに、センターとサイドのプレートをヒンジ/蝶番が繋ぐことで、デコルテの微妙な曲面に添うように造形されており、手の込んだ設計やシルバーワークからは、作者の拘りと確かな技術が感じられます。
そして、プレートの上部を繋ぐシルバーチェーンも伝統的な製法によるハンドメイドチェーンとなっています。このようなチェーンは、棒や細い板にシルバーワイヤーをコイル状に巻き付け、それをカットして一コマ一コマを丁寧にロウ付けし、つなぎ合わせることでチェーンにする伝統的でなスタイルのディテールとなっています。
『ブレストプレートネックレス』や『ビブネックレス』等とも呼ばれる造形スタイルの作品であり、女性のデコルテを華やかに彩るエレガントなジュエリーとなっていますが、ハンドメイドのぬくもりや天然石の表情によって、ビンテージインディアンジュエリーらしい質感と深遠な奥行きも感じられる作品となっています。


【Inlay】インレイ/チャンネルインレイは、古くからズニ族が得意として発展させた技術であり、カットしたターコイズやシェルなどをシルバーにピッタリと嵌め込む螺鈿細工のような技術です。 ナバホのシルバー技術に次ぐ長い伝統のある技術であり、1920年代以降、現在に至るまで多く作られましたが、そのモチーフはサンダーバード、ナイフウイング、レインボーマン、サンフェイス等、とても多様なモチーフが見られます。【C. G. Wallace INDIAN TRADER】C.G.ウォレスインディアントレーダー等有力なトレーダーの元では、ナバホのシルバースミスがシルバーワークを担当し、そこにズニのシルバースミスがインレイワークを施した共作品なども作られてます。
また、現在ではインレイ技法で制作される多くのジュエリーがキャストによる量産品(量産されたシルバーに石をはめ込むだけ)となってしまいましたが、こちらはシルバー部分を含めてすべてがハンドメイドで成形されています。


こちらの作品もズニの伝統的なインレイ技術とシルバーワークによって構成された作品ですが、その洗練されたカラーリングと繊細な仕事によってグラフィカルでモダンな表情も持った作品に仕上がっています。
このように色々な石をインレイすることで生まれる美しい色彩感覚は世界的に高く評価されており、ズニジュエリー独特のグラフィカルな印象と共にハンドクラフト品の素朴な魅力を感じることが出来る作品です。

その造形の有機的なシェイプとエレガントな雰囲気は、女性の装いにナチュラルな感性と華やかなアクセントを与えてくれます。また、ヒンジ/蝶番が備えられていることで、柔らかくデコルテにフィットしてくれます。

ズニ独特の世界観を持ったインレイのジュエリーは、キャッチーな印象とハンドメイドによる味わいを持ち、自然の存在を重んじるアニミズムの思想を持つ日本人にも共通した価値観や美意識を感じることができると思います。

重厚で丁寧なシルバーワークで仕上げられた作品であり、トレジャーハントプライスとなっています。

◆着用サンプル画像(8枚)はこちら◆


コンディションは、全体にシルバーのクスミやハンドメイド特有の制作上のムラが見られ、蝶番の軸パーツが少し動きますが、特にダメージは無く良好なコンディションです。