【NAVAJO】ナバホの1930年代頃に作られたと思われる【Ketoh】 ケトー をイメージした造形の作品で、ワイドな幅と素晴らしい存在感を持つアンティーク/ビンテージリングです。

【Ketoh】ケトーは【BowGuard】ボーガードとも呼ばれ、もともとは弓を引く時に手首を守るための防具として作られていたもので、現在でも儀式などで使われている伝統的なアイテム。それらの多くはレザーで作られたブレスレットをベースに、プレート状のシルバーを組み合わせて構成した幅の広い手首飾りです。

こちらのリングはそんなケトー/ボーガードをモチーフにしており、それらに見られるような盾を思わせるシェイプを持ち、フロント(フェイス)の幅が広く存在感のある作品です。フラットなシャンクをベースに、指に沿うようにアールがつけられた長方形のフェイスが施されています。フェイスにはスタンプワークによってアロー等、色々なデザインが細かく刻まれ、アンティークらしい表情を生み出しているようです。さらにシャンク部分にもスタンプワークが刻まれ、細部にも行き届いた作者のこだわりを感じることが出来ます。また、それらの紋様を刻むスタンプ(鏨)自体も非常に細かな仕事による高い完成度を持ち、こちらのようアンティーク作品特有のクオリティーを感じさせるものとなっています。

こちらの様なナバホの伝統的な手首用防具/ブレスレットであるケトー(Ketoh)/ボーガード(BowGuard)をモチーフとしたリングは、インディアンジュエリー創成期からみられ、ナバホの偉大な作家【Fred Peshlakai】フレッド・ぺシュラカイ(1896-1974)やホピの【Ralph Tawangyawma】ラルフ・タワンギャウマ(1894-1972)、同じくホピの【Morris Robinson】モリス・ロビンソン(1901-1984)の作品でも散見される伝統的な造形の一つです。また、【Tourist Jewelry】ツーリストジュエリーや【Fred Harvey Style】フレッド・ハービースタイルと呼ばれる1910年代～1950年代当時、観光客向けに作られたピースにも類似した造形のリングを見つけることが出来ますが、こちらの作品はツーリスト向けのアイテムではなく、前述ような作者によって制作された量産されていない作品です。
現在においては、【Thomas Curtis Sr.】トーマス・カーティス(1945-2013)や、【McKee Platero】マッキー・プラテロ(1969-)、当店でも紹介している若手作家の【Clendon Pete】クレンドン・ピート(1977-)等、多くのシルバースミスが受け継ぎ、現在でも制作されているナバホジュエリーらしい造形スタイルとなっています。


ナバホメタルワークの古典期からみられるケトー/ボーガードをモチーフに、伝統的な技術によって構成されたオーセンティックな作品であり、武骨ながら無駄のない完成度があり、力強さを感じさせるハイエンドな作品です。

また、とてもワイドなボリューム感とワイルドな印象は大きな存在感を持っていますが、石のセットされないシルバーのみによる構成は仰々しい印象が無く、アンティークの質感とフェイスの柔らかな曲面/アールによって、手への馴染みも素晴らしいリング。性別やスタイルを問わず多くのシーンにおいてナチュラルに溶け込むと思われます。

プリミティブでクラシックな雰囲気と共に品格も備え、多くのツーリストジュエリー/フレッド・ハービースタイルジュエリーのデザインソースともなった史料価値も高い作品の一つです。

◆着用サンプル画像(9枚)はこちら◆


コンディションは全体に摩耗が見られ、スタンプワークの一部は薄く不明瞭になっています。また、シャンクにはロウ付けの跡等が確認でき、過去にサイズ直しされていることが推測されます。
ただし、破損やダメージは無く今後もご着用にあたって不安のないコンディションです。