【NAVAJO】ナバホか【PUEBLO】プエブロによる作品と推測されるピースで、シルバーワイヤーを編み込み、さらにそれをハンマーワークによってトライアングル(竜骨型)に成形して作り上げた武骨でシンプルな印象のアンティーク/ビンテージバングルです。
1940年代後半~1960年代頃の作品と思われますが、ホールマーク(作者のサイン)やスタンプワーク等、制作された年代や背景を判断する材料となるディテールが見られない為、作者や制作背景が明確ではありません。
シルバーワークや造形スタイルなどからは、ミッドセンチュリー期のナバホかプエブロインディアンによる作品と推測され、1976年出版の書籍『Indian Silver Volume Two』の中では類似した作品が1951年頃のナバホの作品と紹介されています。また、1950年代以降には、沢山のツーリストアイテムを生産した【BELL TRADING POST】ベルトレーディングポストでも類似したディテールを持つピースが作られていますが、こちらの作品はターミナルの仕上げなどから量産されたツーリストジュエリーではないと思われます。
トラディショナルなツイステッドワイヤーのバリエーションの一つであるシルバーワイヤーを編んで構成したものを、同じく伝統的なシェイプであるトライアングル(竜骨型)ワイヤーに仕上げた作品。 4本のシルバーワイヤーを編むことでチェーンの様なワイヤーを作り出し、それを木に彫り込まれたトライアングル型の溝や金型を使い、そこにハンマーで叩き沿わせることによって成形しています。このような手の込んだシルバーワークにより、シンプルで無機質な質感でありながらビンテージインディアンジュエリー独特の奥行きと味わいを持ったバングルです。
伝統的で単純なシルバーワークですが、手間と時間がかかり均一なクオリティーや仕上がりを保つことが技術的に難しい造形であり、完成した作品は素朴で派手さのない印象もあって現代の作家はほとんど作らなくなてしまった造形の一つです。
また、こちらのようなシルバーワイヤーを編むことで作り出す複雑なスタイルのツイステッドワイヤーは、アンティークのメキシカンシルバー作品にもみられる造形の一つであり、それらがソースとなっているデザインと推測されます。いつ頃からインディアンジュエリーに取り入れられたものか正確には不明ですが、ホピの偉大な作家【Ralph Tawangyawma】ラルフ・タワンギャウマ(1894-1972)の作品においても同様のディテールを見ることが出来、前述の通り、BELL TRADING POST/ベルトレーディングポストでも作られています。それらの作品群から、1930年代後半~1940年代前半にはインディアンジュエリーのディテールとしても用いられ始めていたと思われます。
丁寧にパウンティングされたシルバーの質感はとてもなめらかに仕上げられ、 内側も肌によく馴染む質感になっており、変則的なトライアングルシェイプは、奥行きのあるツイステッドワイヤーの造形に、さらに複雑な表情が与えられています。
トライアングルのエッジーなシェイプと、25gを超える心地よい重量感など、男性的な印象。ナローな幅ですが、プリミティブな製法と武骨な印象がスタイルのアクセントとして大変使いやすく、多くのスタイルに違和感なく馴染みやすい作品です。また、ビンテージインディアンジュエリーでありながら、現代的で構築的な印象もある秀逸なデザイン。単独でもしっかりとした存在感がありますが、重ね付けにも向いた造形です。
ミニマルで堅牢なシルバーワークと造形美は、長年にわたってご愛用いただけると思います。
また、こちらのようなツイステッドワイヤーで構成された作品は、造形の彫が深いため、日常的な着用により凹凸のコントラストが強くなり、その奥行きと完成度を高めていきます。
◆着用サンプル画像(7枚)はこちら◆
コンディションは、シルバーのクスミやハンドメイドによる造形ですので、多少の捻りや制作上のムラが見られますが、目立ったダメージはなく良好です。