【NAVAJO】ナバホのアンティークジュエリー、サンドキャストで成形されたピースで、古い作品特有の武骨で重厚な質感を持ち、大変シンプルで洗練されたデザイン/造形ながら強さと迫力を感じさせるアンティーク/ビンテージバングルです。

キャスト(鋳物)によるシルバーの成形は、ナバホジュエリーでも古典期と呼ばれる最初期からみられる技術の一つであり、長い歴史を持っています。そして、その当時から完成された技術/技法は現在に至るまで大きな変化なく受け継がれており、スタンプワークや多くのハンマーワーク等に比べて現代に残る作品の制作年代の判定を困難にしています。とても少なく不確かな判断材料としては、シルバーの質や表情、サンドキャストかトゥーファキャストによる成形であるか、内側の処理、量産化/パターン化されたデザインであるか、などが目安となります。

上記の判断材料から、シルバーの質は1960年代後半以降では現在使われているスターリングシルバーとほぼ同じ割金が配合された純度92.5%のシルバーとなりますが、それ以前では同じ92.5%でも割金の内容にばらつきがあり、独特な質感を持っていることがあります。さらに、1930年代以前の作品では、コインを溶かしたコインシルバーや、コイン以外にも食器等を混合して溶かすことで独自にブレンドしたシルバーも使われており、こちらの作品の硬く沈んだトーンのシルバーもおそらく割金の鉄含有量が多く、1960年代以前の作品と推測されます。また、内側の処理はとても丁寧にフラットに削り、磨かれています。このような処理も現代の作品では作者次第となっていますが、1970年代～1990年代のピースではサンドキャスト特有のざらついた肌をほとんどそのままで完成させています。そして、こちらの作品は量産向けにパターン化されたデザイン/造形ではなく、さらに細く繊細な流線で構成されていますが、非常に厚くエッジのしっかりとした造形は、多く制作された『型』によるピースではなく、作者の高い技術を感じさせる作品です。これらの材料/ディテールから、明確ではありませんが1930年代～1950年代頃の作品と推測されます。


【Coin Silver】コインシルバーとは、インディアンジュエリーにおいては銀含有率90.0%の地金を表します。 また、アメリカの古い硬貨における銀含有率は900ですが、日本では800～900や古い100円硬貨では600、メキシカンコインは950であり、900シルバーが最も多く使われていますが世界中で共通した純度ではありません。同じように【Sterling Silver】スターリングシルバー=【925シルバー】は、銀含有率92.5%の地金であり、割金と呼ばれる残り7.5%は、銅やアルミニウム等が含まれています。 925シルバーは熱処理によって時効硬化性をもち、細かな細工や加工に向いていたため食器や宝飾品等様々な物に利用されていますが、インディアンジュエリーにおいては、その初期に身近にあった銀製品、特にシルバーコインを溶かすことで、材料を得ていた背景があるため、現代でも限られた作家によりコインシルバーを用いる伝統が残されています。
シルバーの色味や質感は、『割金』や製法にも左右され、コインシルバー900とスターリングシルバー925の差異を見た目で判断するのは困難ですが、やはりコインシルバーは少し硬く、着用によってシルバー本来の肌が現れた時に、スターリングシルバーよりも深く沈んだ色味が感じられると思います。また、こちらの様に黒くなるのは割金の「鉄」成分が多い為と考えられています。


無駄がなく完成されたデザインと、質の高いシルバーワークによるハイエンドなピース。キャストによって成形された作品は現代でも多く制作されていますが、こちらの様な古い作品は多く発見されておらず、アメリカ国内でも希少であり資料価値も高い貴重な作品です。

また、サイズは小さ目ですので女性に向いたバングルですが、デザイン/造形は性別やスタイルを問わずご使用いただけるアンティークらしい質感の作品。シンプルなデザインは汎用性が高く、ビンテージナバホジュエリーらしい武骨で力強いイメージとエレガントで流麗な造形美を兼ねそろえており、長くご愛用いただける印象です。

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コンディションも良好で、シルバーは暗く沈んだ表情になっていますが、ご着用により少しずつ本来のシルバーの色に磨かれていきます。また、センター部分に小さな亀裂が見られますが、これは制作中にできたもので破損に繋がることはありません。使用感の少ない良好な状態を保っています。