【NAVAJO】ナバホの作家【Clendon Pete】クレンドン・ピート作、スクエアワイヤーを使い巧みなハンマーワークでフロント部分以外をトライアングルワイヤーに成形した作品。センターにはジェムグレードモレンシターコイズがセットされた完成度の高いバングルです。
スクエアワイヤー(断面が正方形のシルバーワイヤー)をトライアングル型に彫り込んだ金型の溝に叩きこむことで三角形の断面に成形しており、インゴットシルバー(銀塊)から成形された作品と同じようにパウンティングによってシルバーの密度が高く、とてもなめらかで硬い質感に仕上げられています。一見簡素な技術を想起させますが実際には非常に手間がかかり、制作に長い時間と高い技術を必要とする制作技法です。
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また、フロント部分のみスクエアワイヤーのシェイプを残すことで、ナバホのアンティーク作品にみられるスタイルの一つで『フラットトップ』と呼ばれるスタイルを構成し、そこには美しいスクエアカットターコイズがセットされています。さらに、フロントの厚み部分を含めサイドにかけては、オールドナバホらしいシンプルな文様が力強いスタンプワークによって刻まれており、その完成度を高めています。
セットされたターコイズは、アリゾナ州にあった大きな鉱山から産出した【Morenci Turquoise】モレンシターコイズです。大変長い歴史を持ち、1960年代には質の高いターコイズが多く採掘され流通しました。他の北米に存在するターコイズ鉱山に比べ、無添加ナチュラルでジュエリーに使用できる質の石が多く産出した為、市場価値は過小評価されていますが、とても美しい色相と煌きを持ったターコイズです。
こちらの石もそれほど大きなカットではありませんが、非常に澄んだ青~水色のグラデーションにワイルドなマトリックスがを持ち、タイトではありませんがブラックウェブの入るターコイズです。パイライトは見られないものの、モレンシターコイズらしい特徴的な透明感や発色を持っており、ジェムクオリティーと言えるターコイズだと思います。
【Clendon Pete】クレンドン・ピートは、ナバホのジュエラーとしてはまだまだ若手と言われる作家ですが、非常に成熟した技術を持つシルバースミスです。インゴットシルバー(銀塊)ではなくシルバープレート/ゲージを使用して制作していますが、こちらの様なハンマーワークによって成形された作品は、インゴットシルバーから成形されたものと同じ質感や表情を持っています。また、スタンプなどのツールはほぼすべて自身が制作したオリジナルツールを用いており、現代作家の中でもスタンプ(鏨)のクオリティーが高く、繊細な力加減が必要なハンマーワークも突出した技術を持つ作家です。
アンティーク作品にも造詣が深く、ナバホのトラディショナルなスタイルをベースとしており、近年まではナバホのベテランアーティスト【Thomas Curtis】トーマス・カーティスや【Ernie Lister】アーニー・リスター、【McKee Platero】マッキー・プラテロ、 【Perry Shorty】ペリー・ショーティー等の影響を感じさせるピースを多く制作していましたが、現在はナバホの伝統的スタイルを守りながらオリジナリティーの強い作品も制作しています。
物静かで職人らしい人物であり、スタンプワークやハンマーワークを極めんとする姿勢等、将来がとても期待されるアーティストでもあります。
こちらの作品もナバホのオールド作品を踏襲した造形スタイルをクレンドン・ピートらしい解釈でセンス良く仕上げており、丁寧な仕事によるシルバーの肌は素晴らしい着用感を生んでいます。
当店では数少ないコンテンポラリー(現代作家)のピースですが、伝統を踏襲しながら高い技術で作り上げられ、一つ一つのクオリティーが高いスタンプ(鏨)により力強く刻まれたスタンプワークやプリミティブなシルバーワークによって、ナバホジュエリーらしく奥行きのある表情に仕上がられています。また、こちらの様なトライアングルワイヤーをベースとしたバングルは、他のバングルとの重ね付けにも向いていますが、厚みもあるため単独でも十分な存在感を持っています。
作者のセンスを感じさせるクリーンかつワイルドな表情を持ち、構築的で無駄のないデザイン/造形は長年にわたってご愛用いただける普遍的な完成度を持った作品です。
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新品・未使用品。 ハンドメイドによる造形ですので、僅かな制作上のムラ等が見られます。